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アジアNIEsとは

 アジア太平洋地域の経済発展が米日の政府と企業によって担われていることはすでに述べた。ここでは更にアジアNIEsについて詳しく検討していく。

 アジアNIEs(新興工業経済地域)は、経済成長が著しい韓国、台湾、香港、シンガポールを指す。NIEsとほぼ同義の用語にNICs(新興工業国)がある。NICs欧州NICs(スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ユーゴスラビア)とラテンアメリカNICs(ブラジル、メキシコ)があった。しかし、これら地域はその後停滞してしまった。現在でも注目されているのは、アジアNIEs及びその周辺のASEANと中国である。それは、雁行型発展と呼ばれているが、基本的にはインダストリアリズムの波及説で説明される。インダストリアリズムの波及説とは、後発国の工業化は先発国に発する工業化の波及を受けて開始されるのが歴史的な一般法則であるという説である。この説によれば、欧州NICsラテンアメリカNICsの急速な工業化もいくらか説明できる。しかし、欧州、ラテンアメリカNICsは停滞し、アジアNIEsは持続的に成長したため何らかの違いがあったと考えられる。


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